2021年度 第3回定例会 決算特別委員会 総括質問


2021年度 第3回定例会 決算特別委員会 総括質問が行われました。

台東区議会 公明党 中沢ふみおです。

決算特別委員会 総括質問にあたり、私からは大きく5点質問させて頂きます。

区長、教育長におかれましては、前向きかつ希望あふれるご答弁を宜しくお願い致します。

 

私が災害対策の中で特に水害に対する質問は平成30年度から毎年続けて参りました。

平成30年度予算特別委員会の総括質問では、ハザードマップの周知について、大規模・広域避難の検討について、

令和2年度の一般質問では、想定浸水深の標示について、「防災ブックの水害編」について、「東京マイ・タイムライン」の周知・活用・作成について、

昨年の令和3年度の一般質問では避難のタイミングが遅れた時に、命を守るための、垂直避難が出来る建物について、備蓄品の2階以上の高い場所に備蓄する事について、ホテルや旅館等の民間施設も活用して、妊産婦、高齢者や医療的ケアの必要な方を含めた障害児者の方が安心して避難できる避難スペースの検討状況について等、様々質問をさせて頂きました。

避難の仕方も、垂直避難、水平避難から、広域避難、事前に親戚や知人宅に避難する縁故避難等様々な避難方法も検討されて来ました。

本年も含めてこの4年間で、災害に対する取り組みもかなり進んで来ています。

災害はいつ起こるか分からず、またいつ起きても不思議ではない状況と思います。

それでは、質問に入ります。一点目は、災害対策について3点お伺い致します。

 

1つ目は、令和3年10月7日に発生した千葉県北西部を震源とする地震が発生しました、台東区は震度4でしたが、区民の方から台東区の被害状況や、ライフラインは大丈夫なの、どこを見れば情報がわかるの、等の連絡を頂きました。

たとえ区内は震度5弱以上に至らずとも、近隣区では5強を観測し、区内も相応に大きな揺れが感じられたような場合には、台東区防災アプリを活用して、台東区内の被害状況、たとえ、被害がない時は、「被害なし」として、状況を発信することで、区民の皆さまの不安を解消する一助になると考えます。

台東区防災アプリの活用について区長のご所見をお伺い致します。

 

2つ目は、台東区防災アプリの水害マップを確認すると、荒川氾濫の時、台東区役所上野側駐車場入り口付近の浸水深は2.8mとなっています。

止水版等を活用して浸水を防ぐ考えと思いますが、浸水後は地下駐車場から車の出し入れは困難になると思います。

そこで、公用車で、特に発災時に電源として活用できる車両については、荒川氾濫が予想される場合は、事前に上野方面の高台に移動させる事が重要になると思います。

特に燃料電池自動車については、3年前の予算特別委員会での総括質問で、可搬型給電機を購入し、一時的になりますが、電源として活用との質問をさせていただきました、この可搬型給電機も、昨年購入されたとの事ですので、発災時の水素燃料確保の課題は残っていると思いますが、燃料電池自動車の電源としての有効活用についても検討をお願い致します。

電源として活用できる車両を事前に高台に移動すべきと考えます、区長のご所見をお伺いいたします。

 

3つ目に、水害に対する区民の意識向上についてお伺い致します。

想定浸水深の表示も重要です。東京マイ・タイムラインの活用も相まって、水害発生時の避難行動の明確化にもつながり、水防災に対する区民意識の向上を図ることができます。

東京マイ・タイムラインの活用や電柱への想定浸水深の表示板設置を速やかに行うべきと思います。

以上3点について、区長のご所見をお伺い致します。

 

(区長答弁)

 

中澤議員のご質問にお答えいたします。

まず、台東区 防災アプリの活用についてです。

今月7日に発生した地震の際は、区の震度などの地震発生情報を防災アプリやたいとう防災 気象情報メールでお知らせするとともに、区で把握した被害情報については翌日、区公式ホームページに掲載しました。

今後は、防災アプリ等も活用して、被害状況についても、迅速に発信して参ります。

次に、発災時に電源として活用できる車両の事前の移動についてです。

大規模水害が想定される荒川氾濫では、あらかじめ区が所有する車両を高台にある区有地等に移動させる必要があると考えています。

特に、非常電源となりうる車両の移動は、水害時に優先すべき業務であり、移動先の確保や手順について、早急に定めて参ります。

次に、水害に対する区民の防災意識の向上についてです。

区民が、水害に対して適切な避難行動を行うためには、浸水被害の想定と避難のタイミングを把握することが重要です。

避難のタイミングを周知するため、区では、「東京マイ・タイムライン」を活用しており、各町会に配布するとともに、今年度の防災指導者講習会では作成講座を実施しました。

今後も、様々な機会を通じてマイ・タイムラインの普及に努めて参ります。

また、浸水被害の想定については、ハザードマップに加えて、想定浸水深を街中に表示することで、被害をより実感できると考えています。

区では、NHKと連携し、AR(エーアール)技術により、区民事務所など実在する区有施設に氾濫水(はんらんすい)の画像を重ね合わせ、荒川氾濫時の想定浸水深を表示したポスターを作成しました。

このポスターを浸水被害が想定される全町会に配布し、町会掲示板に順次、掲示していただいているところです。

今後とも、電柱への表示板設置の検討を含め、様々な手法で区民の水害に対する意識を高め、適切は避難行動に繋げていきたいと考えています。

(質問)

二点目に、がん対策についてお伺い致します。

昨年9月に「医療用ウィッグや胸部補正具の助成制度創設を求めることについての陳情」が提出され、本年の第一回定例会で趣旨採択となっております。

先ごろ、陳情を提出された方から、「コロナ禍、議会関係者をはじめ皆様、大変に苦労をされていらっしゃるとは思いますが、コロナ以外の病気も、止まっている事は無いのです。」とのご指摘を賜りました。

がんを患っておられるご自身の社会生活や就労意欲を応援することはもとより、ご家族の方の希望や安心につながる大切な助成制度です。

一日も早く制度創設の実現をお願いしたいところですが、医療用ウィッグや胸部補正具の助成制度について区長のご所見をお伺い致します。

 

(区長答弁)

ご質問にお答えいたします。

区では、がん患者の支援として、区公式ホームページで、治療に関する情報や、患者を支援する制度の周知を図って参りました。

医療用ウィッグや胸部補正具は、患者やご家族の不安を解消する手段の一つとして、重要であると認識をしています。

委員ご提案の助成制度の導入については、他自治体の状況も参考にしながら、現在、具体的に検討しているところです。

 

(質問)

三点目は、台東区が発祥の地である川柳についてお伺い致します。

川柳は、5・7・5のリズムをベースとした「十七音」の定型詩です。

川柳は、俳句のルールを省略して生まれたものではなく、俳句同様、室町時代から流行していた連歌の中から生まれたもので、連歌は最初に発句という五・七・五の句を詠み、それに七・七、五・七・五、七・七・・・と、えんえんに句を連ねていくものですが、この発句が独立したものが俳句で、川柳は先に七・七の下の句を詠んでからさかのぼって上の句の五・七・五を考えるという「前句付け」というもののなかから生まれたと、言われています。また、川柳は俳諧連歌の平句が独立したもので、季語や切れ字などの約束事がなく、用語も主にその時代時代の口語で表現されてきました。

宝暦7年(1757年)8月25日、浅草新堀端の天台宗龍宝寺門前の名主であった柄井八右衛門が、最初の前句附万句合興行の開キ(発表)を行い、川柳という文芸の礎が開かれました。後に、この初代川柳は「柳祖」として親しまれ、その俳号が、そのまま文芸の名称になりました。個人の名が文芸となったのは特異な例との事です。

 

明和2年(1765年)、川柳の選んだ入選句から、さらに下谷に住む呉陵軒可有という人が(前句)を外しても十七音で鑑賞できる句を選んで編集した選句集「俳風柳多留」が世に出ると、世態人情の機微や人間の矛盾点などを端的に描き出した作品が江戸庶民に受け入れられ、十七音文芸として独立への道が生まれました。

この本は、上野山下の五條天神裏にあった書肆(出版社)・星運堂花屋久次郎によって刊行されました。

「俳風柳多留」は、その後167篇まで続刊される人気書籍となり、花屋久次郎は、三代にわたり川柳界を助け、川柳の発展に貢献しました。

 

現在、台東区には、旧龍宝寺門前地の「三筋町二丁目」交差点に、川柳250年を記念して建立された「川柳発祥の地」の記念碑、2015年8月に「川柳の原点」とも呼ばれる「俳風柳多留」を発刊した書肆・星運堂のあった場所に因んで建立された「俳風柳多留発祥の地」記念碑、また、川柳ゆかりの場所として、天台宗龍宝寺、柄井川柳碑、五條天神跡、上野東照宮等があります。

そこで、川柳を台東区の伝統文芸として、資料の収集や保存、情報発信に取り組み、常設展示、ガイドツアー等も行い、台東区の新たな魅力を発信していく事も重要であると思います。

区長のご所見をお伺い致します。

(区長答弁)

ご質問にお答えいたします。

江戸時代中期に浅草で生まれ、上野で文芸として、確立した川柳は、今なお、多くの人々に親しまれており、本区の貴重な文化資源のひとつであると認識をしています。

区では、これまで、江戸ルネサンス事業の一環として、川柳に関する講演会やワークショップ、史跡めぐりを実施したほか、全国から川柳を募集し、幅広い世代の方から数多くの投稿をいただきました。

また、川柳を題材とした生涯学習講座を開催するなど、川柳に親しむ機会を提供しています。

委員のご提案や民間の活動なども参考にしながら、今後も川柳の魅力の発信に取り組んで参ります。

 

(質問)

四点目は、環境への取り組みについて2点お伺い致します。

一点目は、公用車の買い替えについてです。

環境に配慮した車両は、電気でモーターを動かして走行する電気自動車と、水素をエネルギー源にして発電しながら

走る燃料電池車が、走行中に温室効果ガスを出さない、ゼロ・ミッション・カーになります。

この他、ガソリンを燃焼させてエンジンを動かし走行中に発電させた電気で走行するハブリッド車や、電気自動車のようにバッテリーに外部電力で充電し、必要に応じてガソリンで走るプラグイン・ハイブリッド車、これらが環境への負担が少ない電気自動車になります。

公用車においても、今後買い替え時には、環境に配慮した自動車に変えていく事が重要と考えます、またその時に、標準装備で家庭用コンセントが使用できる車両も選択の視野に入れ、災害発生時に活用できれば、なお良いと考えますが、環境に配慮した車両への買い替えについて、区長のご所見をお伺い致します。

 

二点目として、水平リサイクルについてお伺い致たします。

「水平リサイクル」とは、使用済みの製品がいったん資源となり、また同じ製品として生まれ変わるリサイクルシステムです。

特にペットボトルのリサイクルは、「カスケードリサイクル」と「水平(ホリゾンタル)リサイクル」の2つの方法があります。

カスケードリサイクルは回収したペットボトルを細かく砕いた再生フレークを原料にして、ペットボトルとは異なる用途のいろいろな製品をつくる方法です。

それに対して水平リサイクルは先に述べたように、回収したペットボトルをケミカルリサイクル(化学的再生法)またはメカニカルリサイクル(物理的再生法)により原料にもどし、再びペットボトルをつくる方法です。

水平リサイクルによる、リサイクルペットボトルは、新たに石油由来資源を使ってつくられるバージンペットボトルと比較して、約60%のCO2排出量の削減が期待できると言われています。

課題としては、異物が混入すると、ボトルTOボトルへの歩留まりが悪くなります。綺麗なペットボトルを回収することが重要になります。

あくまでも私の私感ですが、資源回収で集めているペットボトルは、区民の皆様の協力で、キャップとラベルを外し、水ですすいでから出されている方がほとんどと、思います。この綺麗なペットボトルは、水平リサイクルに流通して行けば、CO2削減に貢献出来るのではないかな、と考えます。

 

現在、すでに事業所との連携協定で事業化している自治体や実証実験を行っている自治体もあります。

本区においても、ボトルtoボトルをはじめ、水平リサイクルに向けて、できる取り組みを早急に検討し、実現を図るべきと思います。

以上2点について、区長のご所見をお伺い致します。

 

(区長答弁)

ご質問にお答えいたします。

まず、公用車の買い替えについてです。公用車については、これまでも環境への負担が少ない車両への買い替えに取り組んでおり、約7割に導入しています。

電気自動車などの車両は、災害時に非常電源として有効であることは、私も認識をしています。

今後の買い替えについては、災害時の電源確保の観点も踏まえ、引き続き環境に配慮した車両の導入を推進して参ります。

次にボトルTOボトルをはじめとした水平リサイクルについては、リサイクルの流れがわかりやすいことや、リサイクルの循環が継続する手法であると認識をしています。

現在、区で回収したペットボトルの約3割はボトルとして再商品化されています。

水平リサイクルを行うためには、資源化ルートの変更や、それに伴う経費などの課題があります。

引き続き、多自治体での実施状況等を注視しながら、水兵リサイクルの取組みの検討をして参ります。

 

(質問)

最後に、学校の換気についてお伺い致します。

現在感染症予防のため、学校では、「台東区立学校園版感染症予防ガイドライン」により、

換気を行うため、教室のドアは常時開放することとし、授業中における窓開けなどの換気は、可能であれば常時行うとし、困難な場合はこまめに(30分に1回以上、数分間程度、窓を全開する。)、2方向の窓を同時に開けて行うこと。

また、エアコン使用時においても換気は必要である。なお、換気の程度は天気や教室の位置によって異なるため、必要に応じて学校園薬剤師と相談することも考えられる。

換気設備を設置している教室等では、常時、確実に換気設備を稼働させること。

上述の適切な換気を行いつつ、空調や衣服による温度調節、除湿器による湿度調節などの校園内環境管理の対策を講じること。

冬季においては、換気により室温を保つことが困難な場面が生じることから、温低下による健康被害が生じないよう、幼児・児童・生徒に暖かい服装を心掛けるようにさせ、学校園内での保温、防寒目的の衣服の着用について柔軟に対応すること。

としております。

学校における換気は、ウイルス性感染症予防には、非常に重要です。

そこで、「全熱交換型換気設備」の設置を行ってはいかがでしょうか。

この全熱交換型換気設備は室温を外に逃さずに換気を行うことができます。現在は、既存の空調設備に後付けするものや、窓のサッシに取つけるタイプもあるようです。また、大規模改修等で空調の交換が必要な時に全熱交換換気機能の付いたタイプの空調を選択することも検討すべきと考えます。

せっかく空調からの快適な風が送られていても、外気に逃してしまえばエコではないし、長期的に見ればコスト削減にもつながると思います。

「全熱交換型換気設備」への設置について、教育長のご所見をお伺い致します。

 

(教育長答弁)

ご質問にお答えさせていただきます。

新型コロナウイルス感染症拡大防止対策として、「換気」は大変重要なことであると考えております。

委員ご提案の「全熱交換型換気設備」につきましては、「換気」を徹底しながら、児童生徒の適切な健康管理を行うための室温管理ができることや、省エネルギーの観点から、大変有効であると認識をしております。

現在、本区におきましては、法に基づいた建物の衛生環境向上の観点等から、一部の学校において教室等に設置をしているところでございます。

教育委員会といたしましては、今後、大規模改修工事等の際には、機器の設置の検討も含め、引き続き安全安心な教育環境の整備に取り組んでまいります。