平成29年度第3回定例会 決算特別委員会 総括質問


平成29年度第3回定例会 決算特別委員会 総括質問が行われ、私から服部区長に大きく4点質問致しました。以下質問と答弁を掲載致します。

中澤委員(質問)

台東区議会公明党の中澤史夫です、総括質問をさせて頂きます。
私からは大きく4点質問させて頂きます。
はじめに、観光について2点お伺い致します。
1点目に、浅草文化観光センター内に「仮想現実」(バーチャルリアリティ)いわゆる VR体験スポットの設置についてお伺い致します。
28年度決算報告の、浅草文化観光センターにデジタルサイネージの設置で、私は当時文化観光特別委員会の委員としていち早い設置を楽しみにしておりました。このデジタルサイネージは台東区にお越しいただいた国内外の方々へ、浅草文化観光センターの施設をご案内するとともにイベント等のご紹介に取り組んでおり、センター2階の観光情報コーナーに設置されたデジタルサイネージは人の動きに合わせ、仮想変身ができ、訪れた方々に楽しまれているとの事です。
今後は、災害発生時での活用もされ、来館者・来所者に情報発信等に大いに役立っていると思います。
そこで、新たにVR体験スポットを設置してはいかがでしょうか。
ヘッドマウントディスプレイ(HMD)やゴーグルとヘッドフォンを装着して、江戸の浅草を体験できます。仲見世には人が溢れ、近くの芝居小屋から賑やかに飛び交う声が聞こえてくる。そんな江戸時代の浅草にタイムトリップできるのです。
本物と会えるまち台東区とともに、(オーグメンテッド・リアリティ)AR「拡張現実」やVRや(ミックスド・リアリティ)MR「複合現実」と言った新たな技術でバーチャルな、現実とオーバーラップした今まで見たことのない台東区を楽しんでいただけたら、素晴らしいと思うのです。
2点目に、観光アプリ配信についてお伺い致します。
総務省によると、国内における、モバイル端末の個人保有状況は、2013年は71.4%、そのうちスマートフォンは39.1%、3年後の2016年になるとモバイル端末83.6%、約12ポイント、スマートフォンは56.8%、約18ポイント上昇し、今後もさらに高まると思われます。
そこで新たに観光アプリを作成、配信をしてはいかがでしょうか。
台東区の公式観光情報サイト「TAITOおでかけナビ」のコンテンツを元に、新たな機能も付加し、台東区観光の利便性を高めてはいかがでしょうか。
TAITOおでかけナビ「楽しむ」の中のモデルコースを見てみると、タップするとコース情報として散策距離と時間、そしてスタート場所の文字とイラストが表示され、矢印の先に最初の目的地の表記と写真、数文字の紹介文が表示されます。次の矢印の先を目で追うと、次の目的地と続きますが、矢印が表示されるだけで、道順は表示されません。
調べながら、探しながら、聞きながら次の目的地へ向かうということになり、捉え方次第ですが、その不便も楽しみと言えるのかもしれません。
新たな機能として、ARのような技術により、次に行きたい場所や、近隣の施設の案内が表示され、例えば、国立博物館の方を見ると現在の建物に重なって、江戸時代の寛永寺の堂塔が甍を並べる様を見ることができます。反対側に目をやると奏楽堂のところに、今日開かれる演奏会の案内が表示されます。もう、そのようなことが現実にできるのです。
もっと楽しく便利で、もう一度台東区に来たくなる感動する観光を世界中の方々に提供してみてはどうでしょうか。
ARに関しては、歩きスマホにならないよう配慮して頂き、インバウンド観光客のために、多言語版で、台東区の魅力を紹介することも大切だと思います。以上2点について区長のご所見をお伺い致します。

服部区長 (答弁)

中澤委員のご質問にお答えいたします。
まず、浅草文化観光センター内での「バーチャルリアリティ体験スポット」の設置についてです。
現在、6階の多目的スペースでは、昔の浅草の風景などを適宜放映しており、観光客にもお楽しみいただいています。ご提案の体験スポットの導入は、スペースの確保や、コンテンツの作成費用等に課題があるため、今後、研究して参ります。
次に、観光アプリケーションの配信についてです。「おでかけナビ」については、現在、リニューアルを図っており、スマートフォンでも 使いやすいサイトにすることにより、アプリケーションと同様の利便性を確保できると考えています。
また、AR(拡張現実)など新たな技術を導入した情報発信については、コンテンツの開発や、アプリケーションへの効果的な誘導方法等の課題もあるため、技術開発の推移を注視して参ります。

中澤委員(質問)

次に、放置自転車対策についてお伺い致します。
田原町駅周辺の放置自転車については、これまでも多くの議員から質問されております。
私自身も、たびたび区民の皆様からどうにかならないの?と相談され、お叱りも受けております。
田原町駅周辺の放置自転車対策の現状ですが、28年度決算報告によると、年々減少傾向にあります。放置自転車の移送回数及び移送台数が、26年度は25回で182台、27年度は23回で130台、28年度も23回で台数は109台、この移送回数・台数で十分なのか不足しているのか判断しがたいところです。
他の対策がままならない現状を鑑みると、放置自転車の移送にいっそう取り組まざるを得ないのではないかと思っております。
ところで、現在、田原町駅のリニューアル工事が行われておりますが、工事前に比べ、さらに歩行空間が狭まっており、危険な状況が続いています。また、視覚障害者の方々が安全に歩行するための点字ブロックは大変重要なものですが、放置自転車が邪魔して要を為さず大変危険です。
平日は、指導員が放置自転車を斜めに並べ直すなど歩行空間を少しでも多く確保しようと努力されています。しかし、指導員がいない土日祝日はどうにもなりません。
都道の浅草通りには自転車走行空間が整備されておりますが、これも放置自転車が走行空間を塞ぎ、自転車の走行を邪魔し、危険な状況を作っています。
田原町駅周辺には自転車の駐輪場が整備されていません。区として、この近辺に自転車駐輪場を確保しようと大変努力されていることは聞いております。
しかし、施設整備は一朝一夕にできるものではありません。将来的には、自転車駐輪場をしっかり整備していくことも、大切ですが、現状の危険を回避する努力を速やかに実施しなければならないと思います。
そんな中、「東京都台東区自転車等の放置防止及び自転車等駐車場の整備に関する条例」を見てみると、次のような規定になっております。
第10条には「指導整理区域の指定等」が規定されています。その第1項には「区長は、自転車の放置により良好な生活環境が阻害されていると認められ、かつ、自転車等駐車場の整備が進められている地域に、自転車の放置を禁止する区域(以下「指導整理区域」という。)を指定することができる。」とし、同条第4項には「区長は、指導整理区域を指定し、又は変更したときは、自転車の利用者等に対して、指導整理区域を周知するとともに、当該区域内に自転車を放置することのないよう指導するものとする。」としています。
この10条から、指導整理区域の指定の要件として、一つは、放置自転車により良好な生活環境が阻害されていること、かつ、2つ目として、自転車等駐車場が整備されていなければならないこと、の2つの要件があり、田原駅周辺には「自転車等駐車場」がないので、指導整理区域に指定できないと解されます。
指導整理区域であれば、同条4項のとおり、放置自転車をしないよう指導を行い、11条では、自転車の放置禁止を規定し、「自転車の利用者等は、指導整理区域内に自転車を放置してはならない。」とし、同12条では、指導整理区域内の放置自転車に関する措置として「区長は、指導整理区域内に自転車が放置されているときは、当該自転車を一定の場所に移送することができる。」としています。
しかし、指導整理区域外の放置自転車の対策については、13条で、「区長は、指導整理区域外で自転車の放置により良好な生活環境が著しく阻害されていると認められる場所について、自転車の利用者等に対し、放置することのないよう指導することができる。」とし、同条第2項は「区長は、前項に規定する措置を講じてもなお当該場所に自転車が放置されているときは、当該自転車を一定の場所に移送することができる。この場合においては、あらかじめ移送する旨を周知しなければならない。」としています。
つまり、当該地域に自転車等駐車場の施設が無ければ指導整理区域に指定されることはなく、放置自転車に対する指導はあくまで努力義務で、「することができる」に止まり、その移送は「あらかじめ移送する旨を周知」しておかないと移送することはできません。
したがって、指導整理区域外においては、放置自転車により生活環境が著しく阻害され、危険な状況にあっても、直ちに、放置自転車を移送し、歩行者や車両等通行空間を啓開することはできません。また、自転車を放置している方は、移送を予告する貼り付けられた指導箋を取り外し、翌日また放置自転車を繰り返し、一向に問題は解決しません。
条例の作り方から、自転車等駐車場が無いので指導整理区域に指定できない。
よって、いかに危険な状況にあると思われても「直ちに」移送することはできない。ということになり。そのことについて、私は疑問に思います。
この条例は、昭和59年12月15日に制定され、約33年が経過しています。その頃とは自転車の保有台数など、大きく社会状況が変わっていると思います。
台東区における放置自転車全般に関わる考え方を深化させ、条例の見直しを考えるべきと思いますが、区長のご所見をお伺い致します。

服部区長(答弁)

ご質問にお答えいたします。
田原町駅周辺については、放置自転車が多く通行の妨げになっている状況であることを私も認識しています。
条例では、委員のご指摘のとおり、駐輪場整備を前提として「指導整理 区域」を指定しています。
私は、今年度「自転車活用 推進法」が施行されたことから、自転車の利用環境を整えていくことも大変重要であると考えています。田原町駅周辺の対応については、引き続き、駐輪場用地の確保に努めるとともに、指導員の増員や撤去回数の増加に努めて参りますので、ご理解いただきたいを存じます。

中澤委員(質問)

3点目に「めぐりん」にAEDを搭載することについてお伺い致します。
28年度決算報告によると「台東区循環バスめぐりん」の乗車人数は、年々増加傾向にあり、平成26年度では「ぐるーりめぐりん」が運行前でしたが1,356,651人、平成27年度は「ぐるーりめぐりん」が年度終盤1月31日から運行され1,411,913人、そして、平成28年度は1,778,226人と多くの区民や、通勤・通学、観光等でお越しの方にご利用頂いております。
そこで、ご利用されている方々が安心して乗車できるよう、「ぐるーりめぐりん」同様に、「北・南・東西めぐりん」にも自動体外式除細動器AEDを搭載すべきではないかと思います。
公益財団法人日本心臓財団では、AEDの具体的設置・配置基準に関する報告の中で、AEDの設置および配置について具体的な目安を示し、効果的かつ効率的なAEDの設置を促し、心臓突発死の減少につなげることを訴えております。そして、設置が勧められる場所・施設と、施設内の配置にあたって考慮すべき事を表にまとめ示しています。
その中で、AEDの設置を考慮しても良いと思われる施設の具体的種別でコンビニエンスストア、ガソリンスタンド、バスやタクシー、宅配トラックなどは、日本心臓財団のクラス分類で、エビデンス・見解から有用・有効である可能性が高いものとされるクラスⅡaに分類されております。
その事も踏まえ、AED搭載と同時に運転手の方にも講習会を受けて頂き、自信をもって、いざという場合には、AEDを使い、処置をして頂くことは非常に大切です。
現在「ぐるーりめぐりん」ではAEDが搭載され、ドライバーの方も講習を受けて対応が完備されています。
他の「めぐりん」においても、運行事業者と区との間で締結する運行委託契約中に、AEDの搭載とドライバー全員のAED操作講習受講を義務付けるべきと思いますが、区長のご所見をお伺い致します。

服部区長(答弁)

ご質問にお答えいたします。
現在、めぐりんの乗客は、高齢者が半数程度を占めている状況です。
乗客の安全・安心の確保には最大限の配慮が必要であり、緊急時の対応体制の整備は重要であると認識をしています。
そこで、現在、緊急時の対応のさらなる強化に向け、全車両へのAEDの搭載と運転手の「救命技能訓練」の受講について、運行事業者と協議をしております。早急に対応して参ります。
今後も、運行事業者との緊密な連携を図りながら、乗客のさらなる安全・安心の確保に努めて参ります。

中澤委員(質問)

最後に防災船着場を活用した舟運や観光の今後についてお伺い致します。
台東区は江戸期には多くの水路が張り巡らされていました、隅田川(大川)や谷田川(藍染川)、不忍池といった水や川の景観的風情が非常に愛され、
山谷堀はかつてあった東京の水路、江戸初期に荒川の氾濫を防ぐため、箕輪(三ノ輪)から大川(隅田川)への出入口である今戸まで造られたものだそうです。
江戸時代には、新吉原遊廓への水上路として、隅田川から遊郭入口の大門近くまで猪牙舟(きょきぶね)が遊客を乗せて行き来し、吉原通いを「山谷通い」とも言っていたということです。
船での吉原行きは陸路よりも優雅で粋とされ、界隈には船宿や料理屋などが建ち並び、「掘」と言えば、山谷堀を指すくらいに有名な場所だったようです。
このように、江戸期の台東区にとって川はなくてはならない存在で、荷物の輸送や遊興にと重要な交通手段でした。
さて、昨今、観光や通勤、物流の交通手段として、川を、舟運を見直そうと機運が高まっております。国においても、都も、民間事業者も、事業化へ向けて、いろいろと社会実験を行っております。
台東区こそが、江戸のころより、また、現代でも、これからも舟運の先進地域、先駆を切る地域でなければなりません。
舟運のネットワークで、台東区を東京観光の水辺の表玄関にしようではありませんか。
台東区長期総合計画・行政計画や観光振興計画にも船着場については取り上げており、中でも観光振興計画の重点プラン「千客万来」受け入れプランの「防災船着場を活用した舟運の活性化に新たな舟運業者の参入を促すなど、区内外の観光地との連携を強化して、舟運のさらなる活性化を図る。」とあります。
28年度の決算の報告を見ますと、防災船着場の一般開放の見込みが200回に対し、利用回数25回に止まり、見込み数を達成のためには越えねばならない課題は多いと思います。
また、防災船着場を利用する方々の休憩や待機のできる待合所や船着場近くに日除け・雨避けのテントやベンチなどの設置も、利用回数を増やすため、また、民間事業者へのアピールするためには、まだまだ不充分と思えてなりません。各計画の達成、利用回数を増やすためにも、早急にやらなくてはならないことが多いと思いますが、区長のご所見をお伺い致します。

服部区長(答弁)

防災船着場は、不定期船の利用による来街者の増加と、舟運を利用した地域の回遊性向上のために、昨年6月1日から一般開放を開始しました。舟運事業者への利用周知に努めていますが、初年度ということもあり、利用実績が伸び悩む結果となりました。
今後は、東京都公園協会をはじめとした舟運事業者から利用者増に向けた助言を求め、その改善を図るとともに、委員のご提案も参考にさせていただき、船着場の一層の利用促進に努めて参ります。

総括質問を終わります、ありがとうございました。